防火地域(ぼうかちいき)とは、都市計画法第9条20項において「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」 として、また、建築基準法および同法施行令において具体的な規制が定められた地域である。

補助的地域地区の一として、特に住宅密集地における火事対策を講じる地区として指定されるが、用途地域の内外を問わず指定することができる。

規制内容としては、延面積が100平方メートルを超える建築物については耐火建築物としなければならない。 また、延面積が100平方メートル以下の建築物については、3階建て(地階を含む)以上の建築物については耐火建築物としなければならない。2階建て(地階を含む)以下の建築物については耐火建築物または準耐火建築物としなければならない。

看板、広告塔、装飾塔など、その他これらに類する工作物で建築物の屋上に設けるもの、または高さが3メートルを超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造るかまたは覆わなければならない。

延面積が50平方メートル以内の平屋建ての付属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のものは、防火地域内においても耐火建築物または準耐火建築物としなくてもよい。また、高さ2メートル以下の門や塀、2メートルを超える門や塀で不燃材料で造っているか覆われているものも同様である。

防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率の制限が緩和される。特に、建ぺい率の制限が80%とされる用途地域(商業地域、都市計画で定める第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域)内で防火地域内にある耐火建築物は建ぺい率の制限を適用しないため、理論上は建ぺい率100%の建築物が建てられる。また、建ぺい率の制限が80%とされる用途地域内で、防火地域内にある耐火建築物は、都市計画で定める敷地面積の最低限度の制限は適用されない。

建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合、または防火地域と未指定区域にまたがる場合、建築物全体について防火地域の規制が適用される。ただし、建築物が防火区域外において防火壁で区画されている場合は、その防火壁外の部分については、その防火壁外の部分の地域の規定が適用される。